(第54回)[商業登記編]
株主総会議事録等の添付書類閲覧に関する改正2

当社は取引をしている会社(以下「取引先」といいます。)に売掛債権を有していますが、支払がありません。
取引先の登記事項証明書を取得したところ、過去何度か、募集株式発行による増資登記をした形跡があります。
今後、取引先に対して、債権回収のための法的措置を検討しているため、取引先が有していると思われる銀行口座は、可能な限り多く把握しておきたいので、預金通帳のコピー等出資金の払込に関する書類が綴じられている増資登記申請時の添付書類を法務局で閲覧したいと考えていますが可能でしょうか?

1.登記申請時の添付書類とは?

 会社の登記事項証明書(登記簿謄本)は、取引先に限らず、全く取引関係の無い会社であっても、当該会社の商号(会社名)と本社所在地が分かれば、全国どの法務局であっても取得可能です。
 しかし、本事例のように、取引先の登記事項証明書だけでは足りず、増資等、取引先が何か変更登記手続をした際の関係資料を入手したいというケースは少なくありません。
 勿論、取引先から直接入手出来ればいいのですが、本事例のように、何らかの理由で支払が滞っている等取引先とトラブルになっているケースですと、取引先が任意で資料を開示してくれる可能性は低いと考えます。
 そこで、増資であれば、当該登記申請をする際に、管轄法務局(当該会社の本店所在地を管轄する法務局です)に登記申請書の添付書類として、出資金の払込を証する預金通帳のコピー等を提出していますので、当該書類を閲覧できれば、債権回収に有益となることも少なくありません。
 なお、添付書類を閲覧するためには、当該添付書類に利害関係を有していることが必要です。
 添付書類の閲覧手続については、登記相談Q&A第42回で解説していますので、ご参照ください。

2.添付書類の閲覧期間の延長改正

 登記相談Q&A第42回を執筆した当時(2016年11月1日)は、添付書類の閲覧期間は5年間でした。
 したがって、登記申請をしてから5年以上経過している登記に係る添付書類は破棄され、閲覧することができませんでした。
 しかし、2019年10月1日付で、閲覧期間が延長され、10年となりました。
 これは、主に以下の理由からなされた改正と言われています。

真実でない登記がなされた場合に、それを是正するための資料として、添付書
類が有益であるところ、その機会を拡張すべきとの社会的要請があること。

役員の任期が最大で10年となったことにより、会社によっては10年に1回
しか登記をしないケースもあるという点と平仄を合わせるため。

株主総会議事録の本店での保存期間が10年であることと平仄を合わせるため。

 上記改正によって、訴訟の証拠書類として、登記添付書類が活用できるケースが増えるのではと思います。
 今後は閲覧(デジカメ等による撮影を含む)だけでなく、添付書類のコピーができるようになると、より利便性は増すと思いますが、現時点ではそこまでの改正は検討されていないようです。

3.当事務所に依頼することのメリット

 債権回収を検討する場合、訴訟等の法的手続を視野に入れつつ、その前提として、証拠となる資料を集める段階から、その手法等を弁護士に相談することは有益と考えます。また、当該資料が登記手続に関するものであれば、商業登記手続に慣れている司法書士だからこそ気づける視点というのもあります。
 当事務所であれば、弁護士と司法書士がそれぞれの専門分野の観点から、ワンストップサービスを実践しているというメリットがあります。
 本事例に限らず、債権回収を検討する企業がありましたら、お気軽にご相談ください。

以上