(第23回)[不動産登記編]
登記事項証明書の取得方法と見方

私は、東京都内の中古マンションの購入を検討しています。
所有者や抵当権の設定状況など現在の権利状態を調べたいのですが、マンションの登記の取得はどうすればよろしいでしょうか。
また、どのような点に注意してチェックすればよろしいでしょうか。

1.登記事項証明書の種類

 不動産の権利関係等を調査するために、法務局で一般公開されているものを登記事項証明書といいます。
 登記事項証明書には、現在の情報を表すものとして、全部事項証明書や現在事項証明書など全部で6種類あります。
 通常、今までの経緯が分かる全部事項証明書(但し、閉鎖されている事項を除きます。)を取得するのがいいでしょう。
 あなた様の場合には、中古マンションなので、区分建物全部事項証明書を取得すべきです。

2.登記事項証明書の取得方法

 登記事項証明書は、管轄法務局の窓口で申請する方法、郵送(オンライン)で申請する方法及びインターネットの登記情報提供サービスから申請する方法があります。
 取得申請の方法によって、料金が異なります。具体的な料金額はそれぞれ以下の通りです。
 なお、取得料金額が、平成25年4月1日に改定され、今までよりも若干安くなりました。

  1. 窓口で申請する方法
     管轄の法務局に直接行き、窓口に申請書を提出します。
     料金は、原則として1通につき600円です。
  2. 郵送(オンライン)による方法
    1.  郵送の場合
       申請書を管轄法務局に送付します。1週間程度で登記事項証明書が返送されます。
       料金は、窓口申請の場合と同様です。
    2.  オンラインの場合
       法務省のオンライン申請システムの利用登録をすれば、自宅のPCからオンラインで取得申請をすることが可能です。
      https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp(法務省オンライン申請システム)
       申請してから数日程度で登記事項証明書が管轄法務局から送付されます。
       料金は1通500円と窓口申請よりも費用が安く、また郵送申請と異なり郵便代も不要と便利です。
       但し、正確に当該マンションの所在地や家屋番号等が分かっていないと、システムエラーにより取得できませんので、注意が必要です。
  3. 登記情報提供サービスによる場合
     法務局の認証文が付いていませんので、裁判所等の官公庁に提出する際などには使用できないことが多いですが、登記事項証明書と同様の情報をインターネット上からPDFデータで取得することが可能です。
     これを登記情報提供サービスといいます。
    http://www1.touki.or.jp/(登記情報提供サービス)
     利用登録に時間がかかったり、個人の方ですと利用料金の支払方法がカード決済しか出来ないなど、不便な点はあるものの、平日の午前8時30分~午後9時までと法務局が閉庁している時間帯でも、自宅のPCで登記情報が取得できるので、非常に便利です。
     さらには、平成25年3月より、不定期ですが月1回土曜日でも取得できるようになりました。
     また、利用料金も1通337円と上記①・②に比べ、一番低廉です。

3.登記事項証明書のチェックすべき点

 登記事項証明書は、大きく分けて、表題部、甲区、乙区の3つから構成されています。

  1. 表題部
     所在・家屋番号・床面積など、建物の構成要素が記載されています。
     中古物件の場合、現況と登記簿の状態が乖離している場合もあります。その場合には売主や不動産業者に事情を確認しましょう。
  2. 甲区
     所有権の移転経緯が記載されています。現在の所有者だけでなく、従前の所有者及びその取得の原因・日付(売買や相続等)が分かります。
     所有者の記載だけでなく、差押えの登記がされていることがあります。その場合には、それは抹消できるものなのか購入前にチェックする必要があります。
  3. 乙区
     抵当権など、所有権以外の登記が記載されています。何の担保権も設定されていない場合には、乙区はありません。現在も担保権が設定されている不動産なのか、購入前にチェックする必要があります。

4.司法書士に依頼することのメリット

 登記事項証明書を取得するには、最低限、所在地番を調べる必要があります。これは、住所とは異なります。所在地番は、各法務局に備えつけてあるブルーマップを見れば分かりますが、見方が困難です。
 そのため、慣れていない人は、司法書士に依頼することをお勧めします。
 上記事例のような不動産の場合に限らず、新規取引先の調査をしたい場合などで、会社の登記事項証明書の取得代行をすることも可能です。
 登記事項証明書の見方が不明な方は、解説もしますので、お気軽にご相談ください。

以上