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2020年02月03日

(第55回)[商業登記編]~会社代表印の届出方法と届出義務廃止の改正~

司法書士大越一毅

~会社代表印の届出方法と届出義務廃止の改正~

Q: 当社は、代表取締役を社長と会長の2名体制にすることを検討しています。
会社代表印は2名とも法務局に届出する必要があるのでしょうか?
また、しばらく印鑑証明書を取得していなかったので、当社の印鑑カードが見当たりません。再発行は可能でしょうか?

A: 1.会社代表印の届出
 株式会社(以下「会社」といいます。)の場合、代表取締役は、原則として、会社代表印の届出をする必要があります(商業登記法20条)。
 印鑑届出をする場合、法務局備付の印鑑届書の所定箇所に会社代表印及び代表取締役の個人実印を捺印し、かつ代表取締役個人の印鑑証明書(3ヶ月以内に発行したもの)を添付する必要があります。
 印鑑を変更し、改印登録する場合も同様です。

 届出した会社代表印については、法務局で同印影に係る印鑑証明書の発行が可能となりますので、金融機関や役所、取引先等から、いわゆる実印の捺印+印鑑証明書の提出を求められた場合には、届出した会社代表印で捺印をし、かつ会社の印鑑証明書(一般的には有効期限を3ヶ月としているケースが多いです。)を提出することになります。
 なお、印鑑証明書を法務局で取得するためには、法務局で事前に発行した印鑑カードが必要です。
 会社代表印の印鑑届出をする際に、法務局備付の印鑑カード交付申請書も併せて提出し、印鑑カードの交付を受けておくとスムーズです。
 他方で、会社の印鑑証明書は、登記事項証明書(登記簿謄本)と異なり、誰でも取得できるわけではありませんが、印鑑カードを持参し、かつ代表取締役の生年月日を申告すれば、代表取締役本人でなくとも委任状等を要せず取得可能です。
2.代表取締役が2人いる場合
 会社の代表取締役は、1名のみとしているケースが多数だと思いますが、2名以上置くことも可能であり、設例のように、会長・社長をいずれも代表取締役として登記しているケースは少なからず見受けられます。
 その場合の会社代表印の届出方法は、以下のいずれかから選択可能です。
 したがって、代表取締役2名ともが印鑑届出することが必須というわけではありません。
 但し、契約書等で実印を要求されるケースにおいて、会社代表印を捺印する場合、記名も会社代表印の届出をしている代表取締役の氏名を記載する必要がありますから、契約書等に記名捺印するケースが多い方の代表取締役で、会社代表印の印鑑届出をしておく方が好ましいと考えます。

 <代表取締役が2名いる場合の印鑑届出方法>

2名とも会社代表印の印鑑届出をする。
但し、同じ印鑑を届出することはできず、代表取締役ごとに別々の印鑑を作成の上、届出する必要がある。

どちらか1名のみが会社代表印の印鑑届出をする。
印鑑届出者を交代したい場合には、現在の印鑑届出者が印鑑廃止届書を提出した上で、新しい印鑑届出者が印鑑届書を提出する必要がある。
また、既存の印鑑届出者が、代表取締役を退任しない場合は、印鑑届出者の交代に際して、印鑑カードを継続使用することはできず、新規に印鑑カード交付申請書の提出も必要になる。

3.印鑑カードを紛失した場合
 設例のように印鑑カードを紛失した場合、再発行が可能です。
 法務局に、既存の印鑑カードに係る印鑑カード廃止届書を提出し、かつ新規の印鑑カード交付申請書を提出すれば足ります。
 前述のとおり、印鑑カードがあり、かつ代表取締役の生年月日を把握していれば、代表取締役本人でなくとも委任状無しに会社の印鑑証明書が取得可能なので、印鑑カードを紛失した場合には、速やかに紛失した印鑑カードの廃止届出・新規印鑑カード発行手続をすることをお勧めします。
4.印鑑届出義務廃止の改正
 2019年12月4日に会社法の改正が成立(会社法改正の概要については、マンスリーコラム「新法・新判例」の2020年1月6日をご参照ください。)したことに伴い、商業登記法20条を削除し、会社代表印の届出義務を廃止することが決まりました。
 具体的な廃止の時期は未定であり、会社法改正の公布の日から起算して1年3ヶ月を超えない範囲内で政令にて定める日になるようです。
 これは、会社設立の際に、印鑑届出制度があることにより、オンラインのみで手続が完了しないことによる弊害を解消するためと言われています。
 会社代表印の届出義務を廃止したことにより、印鑑届出制度・印鑑証明書制度に代わるものとしてどのような対応をするのかについては、今後決まっていくものと思いますので、判明次第、また本コラムで解説をする予定です。
5.当事務所に依頼することのメリット
 上記のとおり会社代表印の届出方法など、市販の書籍等では明確な記載のない実務対応が、商業登記実務には多々あり、それらを全て把握することは容易では無く、経験も必要です。
 当方であれば、多数の企業から商業登記手続の依頼・相談を受けているという実績があるため、商業登記に関する最新の実務に基づいた適切なアドバイスが可能です。
 本事例に限らず、会社に関する登記事項・印鑑の変更を検討する方がいましたら、お気軽にご相談ください。
 司法書士報酬については、当事務所のHPをご参照ください。
以上
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