過去の登記相談Q&A

2019年08月01日

(第53回)[商業登記編]~代表取締役の住所登記の表示方法~

司法書士大越一毅

~代表取締役の住所登記の表示方法~

Q: 当社の代表取締役が引越しをし、住民票上の住所が変わりました。
代表取締役曰く、自身の個人情報なので、マンション名・部屋番号を登記簿に記載することは避けたいとのことですが、可能でしょうか?
また、代表取締役の住所自体を登記しないことは可能でしょうか?

A: 1.代表取締役の住所を登記しないことの可否
 株式会社(以下「会社」といいます。)の場合、会社法第911条3項14号によって、代表取締役の氏名だけでなく、住所も登記することが定められていますので、代表取締役の住所を登記(以下「代表取締役住所登記」といいます。)することが必要です。
 設問のように、個人情報である代表取締役個人の住所を、誰でも取得することが可能である登記事項証明書に記載することを避けたいという相談は良く受けますし、住所を登記することが法定事項となっていることの批判も多々あるため法改正も何度か検討されたようですが、今のところ法改正の予定はありません。
 なお、平成30年2月14日付法制審議会において取りまとめられた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」では、代表取締役の住所につき、個人情報保護の観点から、誰でも取得できる登記事項証明書には代表取締役の住所の記載をせず、住所の確認に利害関係のある者のみ住所の閲覧が可能とするような改正が検討されていました。
 しかし、平成31年1月16日付法制審議会において取りまとめられた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」では、同改正事項が削除されていたので、今回も代表取締役の住所に係る改正はされないと思われます。

2.代表取締役住所登記の表示方法
 代表取締役住所登記の表示方法は、当該代表取締役の住民票上の記載に合わせて登記することが原則です。
 しかし、住居がマンション(アパート等の集団住宅を含みます。)の場合、住民票の記載によっては、マンション名・部屋番号を省略して登記できるケースがあります。
 具体的には、以下のとおりです。
 a)●●区●丁目●番●―●●号(←部屋番号)マンション名の場合、
   部屋番号の省略不可、マンション名の省略可
 b)●●区●丁目●番●号マンション名●●(←部屋番号)の場合、
   マンション名・部屋番号の省略可
 登記実務上、「号」の記載までが住所の記載として登記する必要があり、「号」の記載の前に部屋番号の記載もある場合には、部屋番号の登記が必要との取扱いです。
 なお、住民票の記載が、上記a)・b)いずれの表示となるかは、住民登録をする各役所によって取扱いが異なり、かつ役所ごとに統一の対応がなされているようなので、自身の希望で住民票の表示を変えることはできないと考えます。
 ちなみに、代表取締役の住所が変わった場合、他の変更登記同様、住所変更日から2週間以内に、法務局へ住所変更登記を申請する必要があります。他の変更事項と異なり、株主総会決議等を要しないため、住所変更登記をすること自体、失念されがちなので、ご注意ください。

3.誤って代表取締役住所登記をした場合の対処法
 代表取締役が任期満了により再任した場合、再任登記が必要です(再任登記の詳細は、登記相談Q&A第3回をご参照ください。)。
 再任登記の際、登記申請書には代表取締役の住所を記載しますが、最初の就任登記と異なり、原則として代表取締役個人の住所を証する住民票・印鑑証明書の添付が不要なため、現住所と異なる住所を記載したとしても、誤った記載のまま登記が完了します。
 例えば、代表取締役の再任時点で、既に代表取締役の住所が変わっていたとしても、社内で情報共有がなされていない場合等、住所変更の事実を会社担当者が把握していないケースもあるので、上記のような誤記が生じることが少なくありません。
 上記のとおり、再任登記の際に、誤った住所で代表取締役住所登記をした場合、再任登記自体は完了していますので、後から住所変更登記をすることができません。
 したがって代わりに、再任登記の更正登記を申請し、代表取締役の住所を更正することになります。
 その際は、誤って代表取締役住所登記がなされていることに係る代表取締役の上申書(会社代表印で記名捺印したもの)の添付が必要となり、住所変更登記よりも手続が面倒なので、ご注意ください。

4.当事務所に依頼することのメリット
 上記のとおり代表取締役の住所の表記方法など、市販の書籍等では明確な記載のない実務対応が、商業登記実務には多々あり、それらを全て把握することは容易では無く、経験も必要です。
 当方であれば、多数の企業から商業登記手続の依頼・相談を受けているという実績があるため、商業登記に関する最新の実務に基づいた適切なアドバイスが可能です。
 本事例に限らず、会社に関する登記事項の変更を検討する方がいましたら、お気軽にご相談ください。
 司法書士報酬については、当事務所のHPをご参照ください。
以上
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