過去の登記相談Q&A

2019年02月01日

(第51回)[商業登記編]~公証人法施行規則改正に伴う新たな定款認証制度~

司法書士大越一毅

~公証人法施行規則改正に伴う新たな定款認証制度~

Q: 当社は、当社の100%子会社とするため、新たな株式会社の設立を考えていまます。 今般、公証役場での定款認証手続が変わったとのことですが、具体的にどのような点に変更があったのでしょうか?

A: 1.定款認証手続の改正
 株式会社(以下「新会社」といいます。)を設立する場合、原則として、設立登記申請前までに、作成した定款について、公証役場で定款認証手続をする必要があります(具体的な設立手続の流れ、会社が発起人となる場合の注意点は、登記相談Q&A第15回をご参照ください。)。
 定款認証手続は、当該新会社の本店所在地の都道府県を管轄する公証役場で行う必要があります。
 したがって、東京都を本店とする会社の場合は東京都内の公証役場、埼玉県を本店とする会社の場合は埼玉県内の公証役場で定款認証をする必要があります。

 本事例のように、株式会社が発起人となり新会社を設立する場合、従来は、以下の書類が原則として必要でした。
<従来の必要書類>
 ①定款
 ②発起人の印鑑証明書
 ③発起人の登記簿謄本

 しかし、平成30年10月12日付で公証人法施行規則が改正(以下「本改正」といいます。)され、平成30年11月30日以降に定款認証をする場合、当該新会社の発起人等に関し、実質的支配者となるべき者の申告書(以下「支配者申告書」といいます。)及び支配者に関する資料を上記書類に加えて提出することが必要になりました。
 具体的にどのような資料等の提出が必要となるかは、当該発起人の性質等によって変わりますので、次項以下でいくつかの例を挙げておきます。ご参照ください。
また、日本公証人連合会のホームページでも解説・支配者申告書の雛形がありますので、併せてご覧ください。
http://www.koshonin.gr.jp/business/b07_4/
 (日本公証人連合会のホームページ)

 本改正が行われた趣旨は、法人の実質的支配者を把握することにより、法人の透明性を高め、暴力団員及び国際テロリスト(以下「暴力団員等」といいます。)による法人の不正使用(マネーロンダリング、テロ資金供与等)を抑止することとされています。
 暴力団員等に該当しない一般の企業・起業家にとっては、提出する資料の分量と手間が増えることになり、不便に感じる方が多い内容の改正かと考えます。
 とはいえ、昨今は金融機関等でも本人確認が厳格になっていますので、今まであまり本人確認が厳格ではなかった公証役場での定款認証手続もそれに倣うことになったような改正内容ですから、本改正に伴う手続的な負担増加はやむを得ないことかと考えます。

2.発起人が上場企業又は上場企業の子会社の場合
 発起人が上場企業又は上場企業の子会社の場合、原則として支配者申告書以外に提出が追加になった資料はありません。
 後記3.に記載する資料の提出を上場企業又は上場企業の子会社に求めることは、現実的ではないと考えられるからです。
 但し、当該発起人となる企業の印鑑証明書に、印鑑証明書と同じ印影の会社代表印(会社実印)を捺印(以下「本捺印」といいます。)することが新たに必要となりましたので、ご注意ください。
 本捺印をすることは迂遠かつあまり意味がないのでないかということで、本捺印を不要とする公証役場もいくつか出てきておりますが、原則として本捺印が必要なので、現段階では、本捺印をしておいた方が定款認証手続がスムーズになると考えます。
3.発起人が上場企業以外の場合
 発起人が上場企業以外の場合、原則として支配者申告書に加えて、当該発起人企業の支配権を有する個人株主(51%以上を保有する個人)の免許証等の身分証明書及び当該発起人企業の株主名簿(発起人企業の会社代表印を捺印したもの)を資料として提出する必要があります。但し、上記書類が準備出来ない場合は、担当公証人と協議の上、何かしらの証明資料を提出することになるようです。
4.公証役場の対応
 支配者申告書を提出した後、公証役場は専用のデータベースで、当該発起人(上記3.の場合は支配者となる個人。以下同じです。)が暴力団員等に該当しないかどうかをチェックし、疑わしい場合は警察等にも照会することになります。
 そして、仮に暴力団員等に該当すると判断された場合には、定款認証を拒否されることがあります。
 また、定款認証を拒否されるケースは稀でしょうが、発起人自身は暴力団員等ではないものの、公証役場のデータベースに当該発起人と同姓同名の方がいた場合等、担当公証人が疑わしいケースに該当すると判断した際には、警察等に照会する関係上、定款認証手続をするのに1ヶ月以上要することが今後出てくるとのことです。
 したがって、支配者申告書の提出は、定款認証日の直前ではなく、新会社を設立することが決まった段階で、なるべく早く担当公証人に提出すべきです。
5.申告受理証明書の発行
 定款認証手続が完了した後、公証役場に発行希望をした場合、暴力団員等に該当せず定款認証手続が完了したことの申告受理証明書を公証役場で発行してもらうことが可能です。
 当該申告受理証明書は設立登記手続には不要ですが、新会社の銀行口座開設の際に、当該金融機関から提出を求められるケースが今後あるようですから、念のため発行しておいてもらった方が宜しいかと考えます。発行手数料は無料です。
6.当事務所に依頼することのメリット
 上記のとおり定款認証手続が改正され、発起人の性質等によって提出すべき資料が変わるため、改正当初の現段階では、設立手続に慣れていないと対応に苦慮するケースが少なくないのではと思われます。
 当方であれば、多数の企業から商業登記手続の依頼・相談を受けているという実績があるため、既に改正後の定款認証手続も多数経験しており、様々なケースにおいて適切なアドバイスが可能です。
 本事例に限らず、会社設立を検討する方がいましたら、お気軽にご相談ください。
 司法書士報酬については、当事務所のHPをご参照ください。
以上
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