過去の登記相談Q&A

2012年07月01日

(第14回)[商業登記編]~定款を電子定款で作成するメリット~

司法書士 大越一毅

~定款を電子定款で作成するメリット~

Q:私は、株式会社の設立を考えています。
 定款をPDF形式の電子ファイルで作成すると、費用が安くなると聞きました。
 具体的には、どのようにすれば宜しいでしょうか。

A:
1.電子定款とは
 株式会社を設立するには、まずは会社運営の根本規則となる定款を作成する必要があります(会社法26条)。設立時に作成する定款を原始定款といいます(定款の具体的内容については、登記相談Q&A第13回をご参照ください。)。
 原始定款には、公証役場で公証人の認証を受けることが必要ですが(会社法30条)、PDF形式の電子ファイルで作成したものに、直接公証人の認証を受けることができます(会社法26条2項、公証人法1条1項4号)。この方法で認証を受けた定款を「電子定款」といいます。

2.電子定款のメリット
 本来、公証役場で保存される原始定款については、印紙税法上の課税文書に該当し、4万円の収入印紙が必要です(印紙税法別表第一第6号文書)。
しかし、電子定款は、電子ファイルで公証役場に保存され、「紙文書」ではないので、課税文書には該当せず、収入印紙を貼付する必要がありません。
したがって、電子定款の場合には、株式会社設立費用が4万円安くなります。
 これは、何かと物入りな創業時期にとっては、大きなメリットでしょう。
 しかも、電子定款で認証を受けても、公証人の職印を押印した謄本を「紙文書」で交付可能なので、定款を「紙文書」で会社に保管できます(公証人法62条の7)。
 なお、謄本については、課税文書ではありません(印紙税法別表第一第6号文書非課税物件)。

3.電子定款のデメリット
 他方で、電子定款のデメリットは、設備費用がかかり、かつ事前準備・認証申請に手間がかかることです。
 電子定款の場合、パソコンがインターネットに接続している環境の他に、最低限以下のものを揃える必要があります。
 ①Adobe Acrobat(Word文書をPDF形式に変更するためのソフト)
 ②電子証明書(電子署名をするためのICカード)
 ③署名プラググインソフト(PDF形式のファイルに電子署名するためのもの)
 ④カードリーダライタ(電子署名が内蔵しているICカードを読み取るもの)
上記を全て購入すると、約10万円かかります。
 したがって、一から自分で電子定款の認証準備をすると、収入印紙不要分のメリット以上に、コストがかかってしまうことになります。

 そのため、電子定款を検討される場合には、株式会社設立登記手続も含め、電子定款の認証に対応している司法書士に依頼することをお勧めします。
 そうすれば、自分では何の準備もせずに、電子定款のメリットを得ることができるからです。

4.電子定款の申請方法が変わりました
平成24年1月10日から、電子定款の認証申請方法が大幅に変更され、法務省の登記・供託オンライン申請システム(以下「新システム」といいます。)を利用して申請することになりました。
 電子定款の制度は、平成14年1月から存在していましたが、従前の申請方法は、電子定款の場合も、通常の場合と同様、管轄の公証役場に直接赴き、認証申請をしなければなりませんでした。
 しかし、現在では、公証役場の窓口で認証申請をするのではなく、法務省オンライン申請システムを経由して、認証申請をします。
 新システムの詳細については、以下の法務省HPに掲載されていますので、ご参照ください。
http://www.touki-kyoutaku-net.moj.go.jp/index.html

5.当事務所に依頼することのメリット
 新システムで利用者の利便性が上がったとはいえ、初めて電子定款を利用する場合には、上記3.の実費約10万円が必要です。
 また、登記相談Q&A第13回でも案内しました通り、定款は会社の根本規則ですから、設立当初とはいえ、自社にあったものをきちんと作成することをお勧めします。
 当方であれば、今まで多種多様な業種の定款を作成し、株式会社の設立手続を行って経験を積んでいますので、正確かつ迅速に定款作成・設立手続を行うことが可能です。
 電子定款の作成・認証から株式会社設立登記手続まで一括して依頼された場合は、司法書士報酬(手数料)は10万5000円(実費は別途いただきます。)ですから、お気軽にご相談ください。

以 上
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